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おめでたいの鯛

頭がおめでたい

母よ、お前は帝国を作りたいんか?

 

大学中退以来だ。

ぼくは、母親からの呪縛を解くべく彼女の束縛に抗い続けている。

今までは、素直に従わう思考停止したただの兵士だったが

今は違う

ただただ命令だけに従ってるのでは

機械とおんなじだ。

私には血があり心臓がある。

生きる意味、自分の使命なるものを見出して

その可能性を存分に生かしていきたいと決意している。

 


私はいわば帝国の反乱分子だ。

ルールも争いも要らねえ。
解放感に溢れた広い土地で
新しい自由な世界を作ろうぜ。

をスローガンにしているグループ。

構成員は1名だ。


およそ9か月前のことだ。

一兵士の私は、大学を中退する意を伝えた。

命令に背いて自分の意志を尊重したまでだ。

まさかそれが、宣戦布告としてとらえられるとは予想もしていなかった。


帝王である母と、将軍である父。

王は権力をもち。

将軍は王の武器だ。

二人がそろったとき、国中を恐怖と不安の稲妻が駆け巡る。


そんな二人が、「話し合いたい」と私に平和条約を持ち掛けてきた。

首を跳ね飛ばされるのかと構えていた私は、ふーっと肩を下ろした。

飴と鞭ですべてで縛り付けようとする憎き王も

やはり一国の王として兵士や国民を愛する気持ちはあったのだ。

人の上に立つ人間というのは、皆それ相応の器を持っているのだ。

こちらも反乱などという発想を捨てて

素直に夢を語ろう。

と、急に空に晴れ間が見えた。

 

王の部屋に呼ばれた。

招待された割には、なぜか正座を強要された。

あ、いや、王の御前だ、それは当然のことか。

安堵と喜びに浸りながら、正座をした私は

彼らの顔が険しいことに気づいていなかった。


平和条約の内容はこうだ。

部下である君は、私にとって家族同然。

君の意志はもちろん尊重する。

 

ただ、その意志は命令に背くほどの価値があるのか。

無能である君が、自由な世界で暮らしていけるのか。

その確信がない限り、君の幸せを願う私としては許可しかねない。

私の出す命令に従ってれば君は幸せになれるんだのだから。

また、命令に従わない兵士は、旅立ちの準備期間を与えることも許されない。

 

君の意思を尊重する。

自分で、判断し直せ。

 

前から思っていたことがある。

この国、独裁政治じゃね?

おいおいおい、何が民主主義だあ?

何が尊重するだあ?

もう脅しじゃねえか!

強要じゃねえか!

選択肢ねえじゃねえか!


何が私たちは家族だあ?

それは戸籍上と口上だけだろーが!?

行動が伴わなってねえじゃねえかあ!


おっと、素が出てしまった。

話を進めよう。


平和条約は、飲まなかった。

私はもう操り人形なんかじゃない。

と、そう伝えた。

その日からだ。

 

私の居場所はなくなった。


どこに行っても迷惑扱いされるもんで

もう開き直った。

もうどうなってもいい。

この国をかき乱してやる。

あわよくば少しでも環境が変わればこっちのものだ。

 

おうおうおう。

王だか将軍だか知らねえけどよお。

屈強な兵士にタイマンで勝てるとでも思ってんのか!?

と、無謀な挑発をしてみた。


そしたら、なんということだ。

奴らがおびえてる!

従順な子羊が、実は中身は飛んでもねえ狼でしたバリに

奴らがひるんでる!!


そりゃそうだろうなあ。

全権力を掌握していることを逆手にとった強要だったもんなあ。

いくら物資や財産が豊満でも

どつきあいに勝てないんじゃどうしようもないよなあ。


一兵士だった私は、どんなことにも屈しないことを決意した。

 

財産も仲間もいない私も武器は一つだけある。

人類の叡智、イヤーホホだ。

 

命令とは、発信者と受信者と二人がそろって初めて成立する。

じゃあ、受信者がいなかったらどうなるのか?

 

そういうことだ。

 

イヤーホホは、両耳に装着することで

あらゆる命令をはねのける最強の相棒だ。

ありがとう。イヤーホホ。

ありがとう。人類。

 

そして、ついに誰も私をとめられなくなったことを知った。

堂々と街を歩いていいんだ。

堂々と旅の準備していいんだ。

とそう気づいた。


だが、同時に

奴らの怒りも形となって現れる。

 

君がこの国にいる限り

最低限これは守ってもらう

と国の掟がより厳しく、より生きにくいものとなった。


だが、私に必要なのはスルースキル。

怒りに対して、怒りで返しては

彼らと同じ土俵に立つことになる。


私は彼らとは違う。

誰に強要されることもない自由な世界に生きるんだ。

彼らの嫌がらせに反応してしまえばそれは奴らの思うつぼ。

旅立ちを1日でも遅ればせようとしているのだ。

全く、子離れもできない王とは情けない。

 

私は私のやるべきことをやるまでだ。

ただもくもくと旅立ちの準備をする。

それだけに集中するんだ。

 

国民は王を愛さない。

それを突きつけるのが最大の革命だと確信している。

 

革命が成功し、王も改心してくれたころに

また、ふらっと立ち寄ってみたい。

ここが私の愛する故郷なのだから。