おめでたいの鯛

頭がおめでたい

【体験談】高校生が2年間カウンセリングに通い続け、気付いたら人生超変わってた。

人生を変えたカウンセリングを受けるきっかけ

高校1年の春、入学早々、友だちも恋人もできた。

とても充実した生活だった。

 

しかし、その後、無神経な彼女の性格がぼくを苦しめることになる。

 

恋って怖いんだ。

苦しみから逃れるには、別れるしかないのに

別れられない理由があるから苦しい。

 

彼女の行動がぼくを苦しめ

彼女に恋した友人の行動がぼくを苦しめた。

 

みんな悪気はないんだ。

誰も悪くない。

ただ、ぼくだけが苦しんでいた。

 

変なプライドが邪魔して誰にも相談できなかった。

 

もうやっていけない。

あの教室で過ごしていけない。

 

気に入らないことだらけ。

不幸なことだらけ。

なんで学校通ってるんだろう。

 

入学して2か月、ぼくは遅刻と早退、欠席が増えた。

 

入学して3か月、あー心がなくなっちゃいそう。

 

こうなったら、最終手段、”プロにご相談”しかない。

毎週木曜日、カウンセラーの先生が学校に来ていることを知っていた。

 

今まではなんだかめんどくさくていかなかったけど

もうめんどうだなんて言ってられない。

人間追い詰められたらなんでもできるんだ。

 

相談室の扉を叩く決意をした。

 

カウンセラーとの出会い

初めての相談の第一声はこれ。

 

「学校がつまらないんです。」

 

当たり障りのない言葉だ。

心が通じ合っていない状態で

いきなり本題は切り出せない。

 

相談に来る生徒のほとんどがこんな感じで話し出すだろう。

 

本当はつまらないんじゃなくて

別に問題があったりする。

だけど、何が問題なのか生徒自身が分かってない場合もある。

 

先生は、「そっか。つまらないか。」

と、ぼくを肯定する。

そしてオウム返しだ。

同じ言葉を返すことで、話を聞いているという安心感を与えてくれる。

 

続けて「どうしてつまらないの?」

と聞いてくれた。

 

安心感を与えてくれたからさらに話しやすくなる。

 

他人の貧乏ゆすりが気に入らないだの

鼻水すんすんが気に入らないだの

友だちと彼女のこととか。

 

もう気に入らないこと全部話しちゃった。

 

支離滅裂でぐちゃぐちゃ話したのに

先生は、ちゃんと相槌うちながら聞いてくれた。

「そっかそっか、苦しかったね。」

って、ぼくの苦しい気持ちを肯定してくれた。

 

認めてくれた。

 

もうそれだけでうれしかった。

 

「そういうのってこの辺りにずっしりくるよね?」

とお腹を時計回りになでながら先生は言った。

 

そう、ぼくは小学生くらいからお腹が弱い。

悩むたびに胃がきりきりもやもやする。

 

まさに先生の指摘はどんぴしゃだった。

 

「え!?なんでわかるんですか?占い師なの?笑」

 

「いや、なんか先生わかるんだよねー」

 

悩むと胃が痛いだなんて。

絞ってるようで絞ってない。

みんなにあてはまるようなことかもしれない。

 

それでも、先生はぼくを肯定してくれた。

ぼくは人生初の“全肯定”を体験した。

 

相談が終わると、不思議と気持ちが前向きで

なんでもできそうに思えた。

とてもいい気分。

 

相談は毎回25分だった。

担任の先生に許可を得て

ホームルームの時間に教室を抜け出して相談に通っていた。

 

クラスメートには内緒だったので

なんでホームルームの時間いないの?

と何度も聞かれたが、「ちょっとねー」と誤魔化してた。

秘密があるのもかっこいいとか思ってた時期でもある。

 

自分で感情処理ができなかった

初めて相談室を訪れたその日から毎週通った。

 

嫌なことなんて毎週起こる。

嫌なことってのは、だんだん心に蓄積していくもの。

だから毎週少しずつ報告すれば少しずつスッキリする。

 

傷ついて修復し、傷ついて修復し。

その繰り返し。

 

どんなにがんばっても、心に傷がつく。

ほんとになんとかぎりぎりのところだった。

永遠に浸水する船からバケツで水をかきだす。

そんな気持ちだった。

 

ずっと後ろから見えない不安が押し寄せる中でも

後ろを振り返る余裕すらない。

ひたすらバケツ作業をしないと沈んでしまうかもしれない。

恐怖を動機に行う作業ほど恐ろしいものはない。

 

カウンセラーに絶対的信頼を置く

カウンセラーの先生は

いつ話しても肯定してくれる。

いつ話しても真剣に聞いてくれる。

 

もうこの人の前でプライドなんて要らないと思った。

 

自分の感情変化は事細かに報告するようになった。

今までであれば、嫌なことがあれば

「なんであいつは・・・」

「どうして人の気持ちが・・・」

と、ずっと人を恨んで憎んで呪ってた。

 

でも、このころからは

「嫌なことがあっても報告すればいいや」

と、嫌なことを受け入れられるようになってきた。

 

逆に、なんか起これば

「ははーん、これは報告しよう。先生はどんな反応するんだろう。」

と、カウンセラーがくれる言葉や考え方を楽しみにしていた。

 

自分と違う考え方、自分にない全く新しい考え方に触れるのが楽しいのだ。

いろんな考え方を吸収するのが楽しくて仕方なかった。

 

考え方が1つしかなかったら

何か起こるたびに振り回されてしまう。

それを回避する方法がないからだ。

 

でも、考え方をいくつも持っていると

何かが起こるたび、考え方を“選ぶ”ことができる。

人の気持ちを知ることで、人の行動に意味付けをしてあげたり。

自分の判断基準を作ることで、悩まなくなったり

受け入れた上で許せるようになったり

圧倒的に消耗を防ぐことができるのだ。

 

覚醒する自己向上心

いろんな考え方を吸収する重要性を知ったぼくは

図書館の本を読み倒した

 

心理学コーナーをはじめ、医療、哲学など

心と体に関することをめちゃめちゃ学んだ。

いろんな考えや知識を得ることで

物事に対する最適なとらえ方を極めることができた。

 

「こんなこと学んだんですよー。」

カウンセラーの報告するといつも喜んでくれた。

さらに、深く掘り下げて教えてくれたりもした。

 

新たな考え方を得る度にどんどん気持ちが楽になっていった。

がんじがらめだった心が少しずつ少しずつ緩んでいった。

 

メモ帳は副作用のない精神安定剤

心理学の勉強という前向きな姿勢に変わっていったぼくだが

まだまだ未熟である。

 

嫌なことはたくさんある。

電車の中、街の中、教室の中。

腹の立つことで溢れている。

毎日イライラしてたった1人で熱くなってる。

 

そんなときは決まってメモ帳を見た。

 

ぼくのメモ帳は、カウンセラーの言葉や

本から得た素敵な言葉、名言などを書きまくってた。

 

自分の好きな言葉、助かる言葉、思考をリセットする言葉

いろんな言葉を書き連ねたおかげで

イライラしても、メモ帳さえ開けばなんとかなった。

なんとかやっていけるようになったのだ。

 

カウンセラーも

「メモはいいよー」

ってニヤニヤしてた。

 

浸水問題が解決して、そよ風の吹く船に乗ってる気分。

もう水かきバケツなんてしなくていいんだ。

前に向いて成長していけばいいんだ。

そう気づいた。

 

見える世界の“色”が変わった

ひたすら心理学を勉強しては、自分の生活に反映させて

心を成長させ続けた。

このころには、色彩心理、アニマルセラピー、催眠術らへんを勉強してた。

 

通い続けたカウンセリングも、最初は愚痴ばかりだったが

だんだんと愚痴ではなく。

事実とそれに対する感情変化の報告になっていた。

 

いつのまにか感情に溺れることもなく

第三者視点で客観的に自分を見つめることができるようになっていた。

 

学校では、ちょうど席が窓側になったこともあり

外を眺めながら物思いにふけることが多くなった。

ポジティブな物思いだ。

 

ある日、気づいた。

「気に・・・ならない!?」

 

クラスメートの鼻水すんすんや貧乏ゆすり

ぎゃーぎゃー騒ぐ声、道徳心のない行動

 

今までであれば、許せない気持ちをふつふつさせていたのに

もう気にならなくなってた。

 

いや、意識的にそれらから焦点を外すことができた。

気に入らない他人のことを考えるのは、非生産的。

だったら、自分の成長のことを考えた方がいいじゃないか。

 

そう考えては、窓の外に満ち溢れる希望を見ていた。

 

変わらない人間関係、変わる過ごし方

心がぐーんと成長しても

友だちはやっぱり少なかった。

でも、孤独を感じることがなくなってきた。

1人でいても平気になってきた。

 

嫌な人と一緒に過ごすのなら

1人で自分のことをした方がいい。

 

そういう結論に至ってからは

いかに毎日を有意義に過ごすかを考えた。

読書がメインとなったのはいうまでもないが・・・。

 

関わる人を選ぶから。

人と関わることが新鮮に思えた。

 

一生に一度くらいしか会わないであろう人に優しくなれた。

ファミレスの店員さんや、街で道を聞いてくる人。

そういうどうでもいいコミュニケーションを真剣に大切にした。

 

彼女ともずっと付き合ってる。

心がなくなっちゃいそうな時期もあったが

ぼくが成長することで乗り越えた。

 

そして、彼女はそんなぼくの優しさに惚れていた。

彼女がぼくに与えた苦しみが、成長を促しその優しさを生んだというのに。

なんだか不思議なもんだ。

 

旧友の一言

ずっと付き合いを続けてる中学の友達グループがある。

ぼくにとっては唯一のグループだ。

性格バラバラ男女6人のへんてこグループだ。

 

あるとき、女の子1人にこう言われた。

「鯛くん、変わったね。」って。

どういう意味か首をかしげてると

「なんか変わったね。いい意味で。」

と、素敵な笑顔をくれた。

 

性格がよくなって、優しくなったよ。

って内容を続けてくれた。

 

なんかすごく嬉しかった。

ホントさりげない一言なんだけど

すげー嬉しかった。

 

あー、ぼくは変わったんだ。

自分の力で変わったんだ。

と、感動すら覚えた。

 

 

無条件の愛を知る

他人へのイライラ問題はほぼ解決したようなもんだが、

身近な人間へのイライラはそう簡単に解決しない。

なにせ関係性が強すぎるから、焦点を外すのが難しすぎるんだ。

目の前いっぱいに広がるものをどうしたら見えなくなる方法があるのか。

彼女の行動には心底うんざりしてた。

行動改善を求めると泣く。

別れようとすると泣く。

泣かれるとどうしようもない。

「女の子は泣かせちゃいけないよ。」

って、おばあちゃんの声が頭によみがえる。

気が付いたら「ごめんね。今のままでいいよ。」って彼女に謝ってる。


彼女が落ち着いて、それぞれ家に帰ったら

「あーなにやってんだろおれ。」って自己嫌悪。

もうどうしたらいいかわかんなかった。


そして突然、ふっきれた。

夏休みの間、会いたがる彼女に対して

ずっと知らん顔、返信もほどほどに

ずーーっと放置してた。

他の女の子と遊んだりしてた。


もう嫌われればいい。

半分やけくそみたいになってた。

それでもまめに連絡がきた。

 

ある日、きちんと別れを告げようと思って

久しぶりに会って話すことにした。

 

ずっと放置して、嫌われようと努力してたのに

会いたいって言ってくれた。

 

彼女はちょっと寂しそうだけどいっぱいの笑顔だった。

胸がずきっとした。

 

公園のベンチに座った。

ぼくは、別れを切り出そうとしたが

なかなか言えなかった。

彼女もいつもと違う雰囲気を察してか

何も言わなかった。

 

2人とも無言のまま。

 

なんていえばいいか分からなかった。

女の子に泣いてほしくなかった。

なんて言い出すか、ずっと考えてた。悩んでた。

 

それでもお互いのためだ。

このままではお互いなんもいいことない。

そう決心して話し始めた。

「あのさ・・・」

 

その声をさえぎるように

「いやだ・・・」

と彼女が泣き出した。

 

泣かれてしまっては言葉を続けられない。

それでも続けなければ今までと同じだ。

「おれさ・・・」

と果敢に切り出すも、彼女にまたさえぎられた。

 

「この夏ね・・・・鯛くんが・・・遠くに行っちゃうような・・・・・・気がしたの」

 

「それでも・・・・待ってるから。」

 

「わたしは・・・・ずっと待ってるから。」

 

泣きながらぐっしゃぐしゃの顔でぼくに微笑んできた。

 

彼女は気づいていた。

ぼくの気持ちが離れていることを気づいていたんだ。

なのにまめに連絡をくれるし、会ったら笑顔を見せてくれる。

彼女はぼく以上に苦しんでいたのに、それなのに。

笑顔を見せてくれた。

 

彼女と過ごした楽しかった思い出がよみがえる。

食事をおいしそうに食べる姿。

ぼくを見上げる笑顔。

ぼくの手をひいて歩く姿。

 

泣いた。

 

彼女の一途さに泣いた。

 

彼女の一途さに惚れた。

 

2度目の一目惚れだった。

 

「おれはずっと好きだよ。ずっと好きだったしこれからもずっと好き。」

 

2度目の告白だ。

 

「知ってるよ。わたしも好き。」

 

そう言って彼女は泣きながらまた微笑んだ。

 

 

それからというもの

彼女がむかつく行動をとっても許せるようになってきた。

それをくつがえすほどの優しさで返してあげようと思った。

攻撃は最大の防御って言うじゃん?

 

なにがなんでも優しい人がいたら

なんか幸せになってほしいなって思うよね?

 

優しさって最強なんだぜ?

 

 

新世界を知る

ある日カウンセラーに言われた。

「起業したらいいと思う」

 

「は?」

思わず変な声出た。

 

誰にでもそういう気持ちはあるんだけど

鯛くんは特に向いてるらしい。

 

今までは、外資系企業でバリバリのサラリーマンやろうと思ってたのに

そうか、自分で事業を起こすという方法もあるのか。

 

とまさに新世界をのぞかせてもらった。

 

祖父も実は実業家だ。

2世代を経て、遺伝したのかもしれない。

ぼくの起業家精神に火がついた。

 

大学受験に大成功

高校は、偏差値65の進学校だった。

上位半分の進学先が難関大学群G-MARCH

上位1割の進学先が早慶上智と旧帝大、千葉大あたり

 

ぼくは、将来自分でビジネス起こすから

大学卒業なんてまるで興味ないけど

自分の力、試したいなんて思ってた。

 

自分の力量のぎりぎり限界が“早稲田大学”だと見た。

先生にも親にも無理だと言われた

 

というのもぼくは校内下位3割だった。

平凡より下くらい。

数学だけ上位5%くらいで

その他に関しては、下位1割だ。

 

それでも可能性は十分にある。

 

絶望的だと言って反対してくるバカどもの鼻をへし折ってやりたくなった。

 

ぼくはもとから独学タイプなので、授業は無意味。

学校の出席日数計算して、必要な分だけ出席

 

あとはずっと学校行かないで、図書館にこもってた。

学校は定期テストの日だけ行った。

受けっぱなしで、学校行かないから

いまだにテスト返却されてないのは今思い出しても笑う。

 

みんな受験は消耗戦としてこなしてるけど

ぼくにとっては、すげー楽しい期間だった。

大きな目標をもって日々過ごすってのは最高に幸せなことなんだよ。

 

勉強法の試行錯誤

課題を発見しては、攻略していく

その繰り返しが楽しかった。

 

でも、途中で気づいた。

早稲田難すぎっ!!

さぼりマンだったぼくには試験科目の化学がやっかいすぎた。

さすがに力量を見誤った。

 

とてもぎりぎりの状況にあったので、もう上智に絞った。

他の大学とかどうでも良かった。

上智だけを見て勉強した。

モチベアップのために、実際にキャンパス行って学生と話してみたりもした。

 

そんなこんなで楽しくやってたら

上智受かった。

 

最後ダメ元で早稲田も受けたけど

やっぱ無理だったよ。

むずいよ。

早大生ってすげーよ。

 

学校でも家でも褒められた。

やっぱ褒められるとうれしい。照れる。

 

でも、家族と先生から

「正直受かると思ってなかったよ。」

って言われたときは

「あ、ふーん。」

って感じ。

 

やっぱ自分の可能性は自分にしか見いだせないんだな。

このとき強く思ったのを覚えてる。 

 

「目標は大きく持て。」

カウンセラーの言葉を大事にしたおかげでぼくは結果が出せた。

 

カウンセラーとの別れ

受験が終わると卒業だ。

いよいよカウンセラーとの別れの日となった。

 

受験期の頃のことをたくさん話した。

すっげー喜んでくれた。

 

「次はクライアントとして来ます。」

最後に固い握手をし、ぼくは学校を出た。

オレンジ色になった雲を見ながら、少し大股に歩く。

足が地面につくたびに体に伝わる衝撃を感じながら

ぼくは、ありがとうともう一度つぶやいた。

悲しくはない、でも涙が出た。

カウンセラーの顔が思い浮ぶ。

 

ぼくに希望をくれた。

勇気をくれた。

進むべき道をくれた。

彼はぼくの人生を変えた。

 

ぼくは、感動していた。

感動の涙だった。